飛行機の乗り方 パラダイス山元
- 2024.03.03
旅の移動は遅ければ遅いほど面白いと思っている。新幹線よりも迂回してでも在来線特急で、特急よりも各駅停車で、もしも船で行けるならば迷わず船へ、列車の選択はなし。そんな風に思っているので、飛行機は仕事でどうしても乗らないといけない時以外は使うことがない。離陸するとどこにも寄らずにいきなり目的地に到着してしまうところがどうも好きになれない。コロナ渦で仕事で移動することがすっかり無くなってしまったので、い […]
旅の移動は遅ければ遅いほど面白いと思っている。新幹線よりも迂回してでも在来線特急で、特急よりも各駅停車で、もしも船で行けるならば迷わず船へ、列車の選択はなし。そんな風に思っているので、飛行機は仕事でどうしても乗らないといけない時以外は使うことがない。離陸するとどこにも寄らずにいきなり目的地に到着してしまうところがどうも好きになれない。コロナ渦で仕事で移動することがすっかり無くなってしまったので、い […]
僕は毎朝30分かけて中学校に通っていた。僕の家は田んぼの中にぽつんとあり畦道は途中で行き止まりになっているため、中学校に行くためには幹線道路に出て遠回りして歩いてゆく必要があった。ところが冬になると、田んぼに降り積もった雪がかちかちに凍る朝が時々あり、その日は中学校まで田んぼの上をほぼ一直線に歩いてゆくことができた。そのことを「空の上を歩く」という呼び方をしていた。山を隔てた反対側の町ではこのこと […]
毎日のように食する和食であるが、和食の定義について考えたことは一度も無かった。ただ漠然と、食する地域や国民を定めることで、他の地域や国民の食するものと区別しているくらいにしか思っていなかった。特別展「和食」という博覧会に行ってみて、それまでの自分の考えが実に浅はかなものなのか分かった。和食とは、手に入る食材を最大限に利用し、発酵など自然の摂理に従い、季節や気候と調和させながら、食事を作り楽しむ工夫 […]
「あひる」を読んだ時から、こういう発想をする今村夏子さんは一体どういう方なのだろう?と不思議に思っていた。「木になった亜紗」を読んでますますこの不思議が大きくなった。ところが、あとがきに、日記を人に読まれなくするためにビーフシチューに漬けてから処分をすると書かれてあり、全てが納得できた。それくらいのことを思いつかない人でないと、このようなお話を書くことはできないだろう。そう言えば、小学生の時に給食 […]
上野発、札幌行きの寝台特急「北斗星」の運行を終了するというニュースが流れ、家族で「北斗星」に乗って北海道旅行に行くことになった。ラストランとなるほんの数日前の寝台特急券を4人分手に入れることができ、その雄姿を写真に収めようという大勢の鉄道ファンに見送られて「北斗星」は上野駅を出発した。上下二段のベッドが向かい合った半コンパートメントでは、上に登ったり下に降りたりワクワクソワソワしながら家族それぞれ […]
いやあ、他人の悪口は楽しい。いつでもできる。どこでもできる。誰とでもできる。どんなエピソードも全て悪口にすることができる。ネタなんて尽きることはない。ということは、自分も悪口のネタにされているということだ。いつも悪口を言われている。あちこちで悪口を言われている。みんな悪口を言っている。何をしても全て悪口のネタになってしまう。でも安心して良い。誰も面と向かって悪口を言ってこない。悪口は隠れてするから […]
ノーマン博士は認知科学という分野の研究者で、アフォーダンスやユーザビリティーの研究の先駆者と言うことになる。「誰のためのデザイン?」が日本語で出版されたのが1990年で、最初に読んだのもこの年。大学を卒業して三年後。もしも大学生の時にこの本を読んでいたら、ノーマン研究室の扉を叩きにカリフォルニアに行っていたと思う。勿論そんな行動力があったとは思えないのだが、それくらい腹に落ちたデザイン理論である。 […]
仕事で一週間ほど名古屋に滞在したことがある。実に楽しかった。名古屋メシも楽しかった。コンパルも行った。味仙も行った。山本屋も行った。矢場トンも行った。ひつまぶしも食べた。名古屋駅のホームきしめんも片っ端から食べた。神宮きしめんも食べた。まだまだ探したりない名古屋メシ。その後、名古屋には何度も行った。ユニークな円頓寺商店街にも行った。大須観音商店街はマニアックな店が次から次へと現れてきて、まるで上野 […]
友人が渋谷区で「いるか家」をやっている。ここは行き場を見失ってしまった子供たちのための居場所である。しかし「いるか家」は、子供たちのスペースであるだけではなく、大人へも開かれたスペースであるという。現代は子供であれ大人であれ誰もが様々な問題を抱えながら生きている社会である。こういった「いるか家」のような隙間が社会には必要なのだろうと、友人のお話を聞いてつくづく思った。 社会で自分の居場所を探しなが […]
僕の大学生の時代、当時は未だコンピュータがデザインの現場に導入されていることはほとんど無く、大学で行っているプロダクトデザインの作業も全てアナログだった。ロットリングのメカニカルペンを駆使して図面や文字を描き、あるとあらゆる材料を駆使して模型を作った。僕はこの模型作りが大好きで、課題制作の大詰めになると学校の製図室で寝泊まりしながら模型を作った。もしも現代のようにいろんな作業をコンピュータで進める […]