6/18ページ

夏から夏へ 佐藤多佳子

  • 2022.07.16

2007年世界陸上大阪大会でアジア新記録を樹立した400mリレー日本代表チームが、その後の2008年北京オリンピックでメダルを狙うところまでメンバーを取材し、走ることの意味を問う一冊。夏から秋冬春と季節は繋がりやがて夏がやってくる。その間もバトンは継がれてゆく。この夏も世界陸上の季節がやってきた。この一冊のおかげで四継が楽しみになってきた。そして短距離競争の名物と言えば、毎年一月の十日戎に西宮神社 […]

北京の台所、東京の台所 ウー・ウェン

  • 2022.06.26

中国の食卓の楽しさを日本で教えているウー・ウェンさんの料理教室に行った。食を通じて、中国と日本の共通点や違いを理解することが出来てとても楽しい。中国では水道から出てくる水を綺麗とは考えていないので、油を使って食材に熱を通す料理法が発達した。精進料理も中国では油を使って調理される。精進料理の考え方は大陸から伝わったものだが、調理方法は全く異なる。そんな中国の精進料理を食べさせてくれるお寺が京都にある […]

津軽百年食堂 森沢明夫

  • 2022.06.18

日本全国47都道府県のうち行ったことの無い都道府県が、遂に青森県だけの状態になった。それから先に青森県を訪れる機会になかなか恵まれず、何年も経過してしまった。そしてある年に少し長い休暇を取れることになったので、迷うことなく青森県に行くことにした。東京駅から新幹線で新潟に行き、新潟から酒田へ日本海に沿って在来線の観光列車「きらきらうえつ」に乗って北上し酒田へ。秋田で一泊し、翌朝にまたもや観光列車「リ […]

家族終了 酒井順子

  • 2022.06.05

長い歴史の中で人口が爆発的に増えた期間がほんの一瞬だけあった。その期間の終わりにあたるのが現代である。日本の平民がお墓を作るようになったのは明治に入ってからのこと。先祖代々の墓となっているが、実は二代か三代が入っているに過ぎない。それなのにお墓をどうやって継いでゆくのか等、家族内のしがらみやそれによる親族間の揉め事が絶えない。私たちが今生きている時代の風習や規則はずっと昔からあるものではなく、明治 […]

しろいろの街の、その骨の体温の 村田沙耶香

  • 2022.06.04

無邪気で、弱くて、残酷で、怖いもの知らずで、勝気で、尖っていて、臆病で、正直で、ひねくれていて、そういう小学生の気持ちがほんの少しだけ大人に向かって変わってゆく段階が描かれている一冊。大人になると忘れてしまうけれど、子どもの頃には誰しもが持っていたそういう複雑な気持ちを思い出す。 本: 「しろいろの街の、その骨の体温の」 村田沙耶香 ブックカバー: 白松がモナカ

大人になったら、 畑野智美

  • 2022.05.22

シンガーソングライターのあいみょんさんのライブに向かう電車の中で、このお話しの結末を読んでしまった。 あいみょんさんはNHKの番組「18祭」で、若者からのメッセージを受けて応援ソングを作り、その曲を若者たちと一緒に演奏していた。その歌「双葉」とこのお話「大人になったら、」が重なってしまった。人は誰しも何歳になっても歳を取れずに若者のまま残されてしまう部分がどこかにあるのかもしれない。「運命の人に出 […]

椎の川 大城貞俊

  • 2022.05.22

沖縄本島の北部ヤンバルの村を舞台に、戦時中の家族の暮らしを描いた話。ヤンバルの山や川や海が美しく描かれているだけではなく、差別や戦争に苦しみながらも懸命に生き延びようとする家族の愛が美しい。琉球王国から日本へ米国へそして再び日本へと、政治と戦争によって常に脅かされていた歴史の中で暮らしを営んできた沖縄の人々の暮らしを感じることができる。 本: 「椎の川」 大城貞俊 ブックカバー: 琉球醤油屋

ま・く・ら 柳家小三治

  • 2022.05.02

噺家の柳家小三治さんが落語の席で披露した枕話を活字にした一冊。話は、ニューヨークのへ、サンフランシスコへ、バリ島へ、オートバイで、駐車場から、俳句の世界へ、塩も。こういう本を読んでしまうと、寄席に足を運んで笑ってみたくなる。座席にいながら話の中で世界中の旅を楽しめそう。 本: 「ま・く・ら」 柳家小三治 ブックカバー: とり松

ぼくには数字が風景に見える ダニエル・タメット

  • 2022.04.19

ダニエル・タメットさんはサヴァン症候群とアスペルガー症候群のふたつの発達障害をもつ人である。ダニエルは円周率の小数点以下22,000桁以上を暗記し、10の言語を話すことができる。どうやら自分は人と違っているようだと気が付いた幼年期からのダニエルが、いかにして社会と上手に接することができるように考えて生きてきたかを綴った本である。しかし、本を読んでみると僕自身にも思い当たる節が色々とある。例えば、幼 […]

やっさもっさ 獅子文六

  • 2022.04.03

横浜のあちこちの駅やデパートなどで販売されている崎陽軒のシウマイ。紙紐をほどき箱に被せてある紙を取り除き蓋をめくると、シウマイを含む幾つかのおかずが決められたレイアウトで現れるシウマイ弁当。横浜で生まれ育った人なら目をつぶってでもどこに何が入っているのかわかるのではないかと思われるような不動のレイアウト。もちろん主力商品はシウマイ。そのシュウマイの包み紙でラップされている文庫本が書店の店頭に並んで […]

1 6 18