このたび、カフェ・ギャラリー・リンデン様とのご縁で、三日間だけの図書室を開室する運びとなりました。ウェブサイト As Slow As Possible で紹介している本とブックカバーを集めて自由に読んでいただける図書室です。 周辺に公園や雑木林などのある気持ちの良い場所です。小さい素敵なレストランやパン屋さんもたくさんあります。お気に入りの場所を見つけて本を楽しんでください。 ● ギャラリーには駐 […]
建築家の中村好文さんの展覧会で中村さんとお話をする機会があった。物腰の柔らかいお人柄が中村さんの設計する建物にも現れていて、僕は中村さんと中村さんの作る建物のファンになってしまった。それから何年も経て、松山市にある中村さんが設計した伊丹十三記念館を訪れる機会があり、中村さんの作った建物に実際に触れることができた。中村さんの作る建物は見た目にも心地よい感じがするが、やはり触ってみるとその心地よさが本 […]
東京の武蔵小山に住む冴えない中年男性が恋を追いかけて新潟に向かう話。そういえば、新潟は江戸の時代に北前船で財をなした豪商の家が多く残っていて、あちことで見事な庭を鑑賞することができる。きっと、デートでそういう旧家を訪れていたに違いない。時々は笹団子でも食べながら。 本: 「小松とうさちゃん」 絲山秋子 ブックカバー: 笹団子 田中屋本店
マイケル・サンデル氏の著書「これから「正義」の話をしよう」では、制御不能となり疾走するトロッコの運転士が、5人の作業員が作業をしている進路をそのまま進むか、ひとりが作業をしている待避線に進路変更をするか、どちらが正義かを問われます。もちろんこれは架空の想定による哲学の問いです。しかし、大勢の乗客を助けるために自らの命を犠牲にして列車を止めた人がいたとなると、マイケル・サンデル氏の問いの設定がそもそ […]
動物園の動物の中で熊が一番好きだ。白い熊が良い。二匹でいるのが更に好きだ。大抵の場合、一匹は水の中に入ってリラックスして、もう一匹はそれを見守るようにして周囲を威嚇している。他の動物は二匹でいると、じゃれ合ったり、一緒にぐるぐる廻ったりと、同じ行動をするように見える。熊だけはそれぞれが別の行動をとるように見える。「雪の練習生」は、熊の眼を通して人間の世界を三世代に渡って観察する物語。地球上には多く […]
僕たちの世代(昭和三十年代の生まれ)にとって糸井重里さんは、カタカナ職業のトップランナーである。コピーライターなんていう言葉を初めて聞いたときは、100円ライターと何が違うのかなと思ったし、それが職業の名前だと知ったときは腰を抜かしそうになった。そんな糸井重里さんがインターネットを使って何かをやろうと試行錯誤しながらビジネスを作り出すプロセスを読むことができるのが「ほぼ日刊イトイ新聞の本」。僕もこ […]
白洲次郎さんと白洲正子さん夫妻は戦争が始まって間もなく、小田急線の鶴川村(現在は町田市)にある茅葺の民家を手に入れて、「武相庵」と名付けて終の棲家として暮らしてゆく。「鶴川日記」には、正子さんが生まれ育った赤坂の暮らしと、次郎さんと暮らした鶴川の暮らしが描かれている。「武相庵」は現在もその場所に佇むように在り、当時の白洲ご夫妻の暮らしを見ることができる。不定期に開催される骨董市は賑やかである。赤坂 […]
大阪嫌いの人がいるので理由を尋ねてみた。仕事で行った初めての大阪でタクシーに乗ろうと思ったら、見知らぬ人がやってきて「同じ方向やからちょっと乗せってってや」と強引に乗り込んできて、目的地まで来たら停めてもらってお金も払わずに降りて行った。あんなのはもう懲り懲りだということらしい。僕は大阪に十二年住んでいたけれど、そんな愉快なことには一度も巡り合わなかった。とても残念だ。これは作り話ではないかと思う […]
俳優をやっている友人がいる。芝居の前になると、観に来てくれないかと連絡をくれた。下北沢の劇場に行くと、熱い芝居の終わった舞台で、まだ最終日まで席が残っているので是非また来てくださいと、必死に観客に訴えていた。幕が閉じると観客席にやってきて、どうやった?観に来てくれてありがとうございます、と知り合いの観客に声をかけた。観客の多くが知り合いのようだった。毎回毎回、芝居の度に連絡が来て、僕は毎回観に行っ […]
阪神淡路大震災で高校生の時から愛用していた湯呑みが割れた。ボロアパートの一階にあった我が家は床がぽっこり盛り上がってしまった。そのお陰で冷蔵庫も食器棚も全て壁にピタリと寄り掛かって止まり、割れた食器はこの一番のお気に入りの湯呑みだけ。ボロアパートの隣の家は反対に床がぺこりと凹んでしまい、全てのモノが倒れ何もかもが粉々になっていた。怪我をしなかったのが不思議なくらい色んなものが倒れ重なっていた。当時 […]