下級武士の食日記 青木直己
- 2020.06.05
幕末の桜田門外の変の三か月後に江戸藩邸の勤務を命じられた紀州和歌山藩の下級武士が記した当時の単身赴任時の食生活の記録を基に江戸の食文化を解明している。万延元年(1860年)5月11日に和歌山城下を出発し江戸に向かってから翌年12月18日に帰るまでの約一年七カ月の食レポ。現代なら東京に単身赴任中のサラリーマンが都内の食生活を綴った食レポのブログということになろう。当時の江戸は旬のものを安く粋に味わっ […]
幕末の桜田門外の変の三か月後に江戸藩邸の勤務を命じられた紀州和歌山藩の下級武士が記した当時の単身赴任時の食生活の記録を基に江戸の食文化を解明している。万延元年(1860年)5月11日に和歌山城下を出発し江戸に向かってから翌年12月18日に帰るまでの約一年七カ月の食レポ。現代なら東京に単身赴任中のサラリーマンが都内の食生活を綴った食レポのブログということになろう。当時の江戸は旬のものを安く粋に味わっ […]
都内に路面電車はもうほとんど走っていないけど、本の中では今でもしっかりちんちんと走っている。それ行け!タイムスリップ! 本: 「ちんちん電車」 獅子文六 ブックカバー: la billet
蔵から出てくる宝の数々。吹っ掛けて高値で売りたい輩と安く買いたい輩の駆け引きと騙し合い。騙して騙され、はらわたが煮えくり返っても顔に出さずに次の手を考える。果たして結末はいかに。果たしてお宝はお幾らに。 本: 「嘘八百」 今井雅子 ブックカバー: 会津葵
日本の食器は不思議だと思う。西洋の食器は同じ食器を人数分揃えて、しかも最初から最後まで同じシリーズの食器で通していかないと格好がつかない。中華料理も同じ。日本だと隣の人と自分の食器が違っていても、料理ごとに違った食器を使っていても全く違和感がない。同じ食器のひとつだけに銀継ぎが施してあっても特に変に思うどころかむしろ趣を感じる。そんな形のバラバラは許容されるのに、季節感を外してしまうとこれは全く許 […]
四月二十日は朝日新聞で夏目漱石の「こころ」の連載が始まった日です。大正三年(西暦1914年)のことです。当時のタイトルは「心」。新型コロナウイルスによる外出自粛の四月の日曜日、バルコニーを打ちつける雨を窓越しに、雨音を心地良く聴きながら、静かに「こころ」を読みました。ウイルスといい激しい雨といい、なんだか私たちの度が過ぎた現代社会への警告のように感じました。 本: 「こころ」 夏目漱石 ブックカバ […]
JRの路線から終点で行き止まりになってしまういわゆる盲腸線を除外していくと、一筆書きでひたすら長い片道乗車券を作ることができる。どうやら乗り鉄の間では、どのルートが最長になるかという情報も飛び交っているらしい。その切符を買いに来る客はいくらお客様といえどかなり面倒な対応をされるらしい。その一筆書きの片道切符、中国と四国が橋で繋がってからは一筆書きで四国には入れなくなってしまったようで、昭和の時代か […]
差別や偏見といった人間の理不尽さの中で生きていく人の葛藤や喜びを描いた小説。ドリアン助川さんの原作もそれを美しい映像で表現した河瀨直美さんの映画もどちらも大好きな作品。樹木希林さんの演技が素晴らしい映画は何度も観て何度も泣いた。涙が乾く前にエンディングロールが終了となり劇場で困る映画。春になり桜が咲くと何度でも読みたくなる小説。 「どら焼きいかがですか!」 本: 「あん」 ドリアン助川 ブックカバ […]
明治の時代に太平洋で座礁した船の乗組員十六人が助けの船に発見されるまでの約一年間を無人島で暮らした実話を基にした話。日本版「十五少年漂流記」。無人島には、炊事場、井戸、見張りやぐら の他に運動不足解消目的の土俵やも作られ、薪となる流木を確保するルートも発見された。更に学習やアザラシ観察の規則なども自主的に作られ、もはや無人島ではなく立派な文明社会である。不謹慎だが、この島で暮らしてみたいと思った。 […]
五十五年もの年月を隔てて、人と人が繋がっていく。人と人が繋がっていくことで、全く希望を持てなかった日々が少しずつ前を向いていける時間へと変わっていく。生きるって凄いこと。生きている全ての人へエールを送るお話。 本: 「世界中の青空をあつめて」 中村航 ブックカバー: 2020東京オリンピック聖火ランナー 募集広告
那覇の国際通りの繁華街の喧騒から離れた安里のディープな街にある琉球料理と泡盛のお店「うりずん」。カウンターに座ってお酒が出てきたところで、隣のおじさんに「かんぱーい」と声をかけられた。四方山話をたくさん語ってくれた後に「じゃあ三線弾くよ」と言って店の壁にかけてある三線で島唄を数曲唄ってくれた。その後、反対側の隣にイタリア人がやってきた。三線のおじさんとイタリア人はお互いが勝手に自分の言葉で話しなが […]