世にも奇妙なマラソン大会 高野秀行
- 2021.05.07
- 本
「佐渡はさつまいもをふたつ並べてくくったような形をしています。今いる場所はさつまいもが西側でひっついているところ。明日の朝6時にここをスタートして北側のさつまいもの海岸線を南側のさつまいもと東側でひっついているところまで行ってください。ここで仮眠を取るかそのまま進むかを選択して、南側のさつまいももぐるっと廻って明々後日の朝6時までに今いるここまで戻ってきてください。距離は208キロです。仮眠所以外に4箇所食事を用意しています。南側には温泉やたらい船に乗れる場所もあるので、時間の余裕のある人は是非観光も楽しんでください。途中で止めても公共の交通機関を使って自分で戻ってきてくださいね。参加賞は皆さまの前に置いてある佐渡の酒です。」これが佐渡島一周エコジャーニーウルトラ遠足208㎞のルール。何度も参加されている人によると、人の出入りが激しい仮眠所よりもバス停(佐渡のバス停は小屋になっていてサッシでしっかり風を防ぎベンチも完備している)の方が寝心地が良いとのこと。またコイン精米所の場合は最新式の機械が入っている所は寝返りを打つ度に「いらっしゃいませ」と機械がしゃべって気になるので最新式じゃない機械が入っている場所を選ぶのがコツだそうだ。なるほど何度も参加されているといろんな知恵がつくものだ。僕の経験した中では佐渡島一周エコジャーニーウルトラ遠足208㎞が最も奇妙なマラソン大会だが、高野さんの本によると世の中には本当に奇妙なマラソン大会がたくさんあるようだ。
本: 「世にも奇妙なマラソン大会」 高野秀行
ブックカバー: 佐渡番茶
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