山の朝霧 里の湯煙 池内 紀
- 2020.06.29
- 本
積雪期の安達太良山で山腹の「くろがね小屋」の温泉に浸かり一泊し翌朝に山頂を目指す予定で出発したのだけれども、夜半から荒天に向かうという天気予報になったため、くろがね小屋の白いお湯に浸かりその日のうちに速やかに下山した。下山後は麓の岳温泉の村営の湯治宿に宿泊した。冬の東北の湯治宿は静かで趣があり味わい深い一晩となった。翌朝は思いもよらずに時間が出来たため地元の酒蔵「奥の松酒造」を訪れて試飲を楽しんだ。安達太良山には登ることが出来なかったけれども、この温泉と酒が目的となった山行はとても印象に残っている。池内紀さんの「山の朝霧 里の湯煙」は、山頂を目指す山ではなく湯と酒を楽しむための山歩きのお話である。頂を目指す山登りもそれはそれで良いものであるが、湯を目指す山歩きもこれまた良いものである。
本: 「山の朝霧 里の湯煙」 池内 紀
ブックカバー: 奥の松酒造
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