スタンド・バイ・ミー スティーヴン・キング
- 2022.09.18
- 本
俳優の火野正平さんが視聴者の思い出の風景にまつわる手紙を読んでその場所まで自転車で旅をするNHK BSの番組があります。とても好きな番組で、僕の生まれた県を訪れた際に、僕の心に残る場所に行って手紙を読んでいただきました。そこは僕の子どもの頃の小さな「スタンド・バイ・ミー」でした。
【こころ旅への手紙】
火野さん、とうちゃこスタッフの皆様、いつも楽しく見ています。映画「スタンド・バイ・ミー」は好きですか?この場所は、僕たちの小さなスタンド・バイ・ミーです。
僕の生まれ育った町は海からは遠く離れた、福井県の大野市という山奥の盆地です。夏になっても海に泳ぎに行くということはまずなく、泳ぐのはいつも川でした。中学生の頃、夏休みになると毎日のように町から遠く離れた佐開(さびらき)というところまで友達と自転車に乗って泳ぎに行きました。大野市は里芋の産地で、途中の道は田んぼと里芋の畑の中。そして佐開を過ぎると道は登坂になり、汗だくになりながらようやく目的地に到着します。道端に自転車を止めて崖を降りて行くと、真名川(まながわ)が淵になっているところに辿り着くことができ、そこが僕たちのスタンド・バイ・ミーです。
5月まで雪が残る山からの水のおかげで、夏でも川の水は冷たく、しばらく泳ぐと身体が冷たくなります。なので、淵に到着するとまず流木を集めてきて焚き火の準備をし、持ってきた芋を放り込んでから、泳ぐのです。寒くなったら焚き火にあたって芋にかぶりつきます。時には、上流で釣りをしていた人がイワナやヤマメを恵んでくれることもありました。友達が林の中からエッチな本を拾ってきて、焚き火で本を乾かして みんなで興奮しながら頁をめくった日もありました。原作や映画のスタンド・バイ・ミーのように野宿をして夜を明かすことはありませんでしたが、毎日がちょっとした冒険でした。
小さな町なので、高校を卒業するとほとんどの人は都会に出ていき、その頃の友達とはもう離れ離れですが、僕にとっては大切な思い出です。
数年前に帰省した時に、その場所に行ってみたことがあります。40年前とほとんど変わっておらず、この町の中学生は今でも同じようなことをしているのだろうかと思ったりしました。大野市内から自転車で30~40分くらいかと思います。是非行ってみてください。
本:「スタンド・バイ・ミー」 スティーヴン・キング
ブックカバー: シュガーバターの木
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