世界ぐるっと朝食紀行 西川治
- 2023.05.21
- 本
僕は旅先のホテルで食事をするのがあまり好きではない。特に朝食のビュッフェというものはどうも好きになれない。海外の街であれば、その国ならではのローカルな食事を食べさせてくれる食堂が朝早くから営業している場合がある。特にアジアの国々では食堂は朝の時間帯が面白い。観光客なんかが行かない、地元の住民のための食堂なんかが面白い。上海の路地裏で食べたちょっと怪しげな麺は、美味しかったかどうかはさておき、実にスリル満点の朝食だった。ホーチミンの食堂では、どうやら麺のトッピングだけを注文してしまったようで、大量の香草が運ばれてしまい、慌ててスープ入りの麺を追加注文して事なきを得た。デリーの道端では自転車の荷台に載った窯で焼かれたチャパティを食べた。ヨーロッパに行けば、食堂に入らなくても焼き立てのパンを手に入れることくらいできる。国によってはサンドイッチくらい作ってくれる。日本では、朝食に和食を食べさせてくれるお店がない町も多い。そういう場合は、喫茶店でモーニングサービスを頼むことになるが、それも地域によって特色を垣間見ることがあって面白い。町に市場がある場合は、朝早くから営業している市場の中の食堂にローカル色を味わうことができる場合がある。さて、西川治さんの「世界ぐるっと朝食紀行」は実に楽しい世界の街の朝食のレポートだ。旅先でのホテルの選択は、面白い朝食にありつけそうな場所を基準にすると、旅の楽しみが倍増するかもしれない。そして家で食べる朝ごはんも真剣に食べないと勿体ないように思えてきた。何せ一年で365食しか朝食を食べることができないのだから。
本:「世界ぐるっと朝食紀行」 西川治
ブックカバー: ANNIVERSARY 365
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