皿の中に、イタリア 内田洋子
- 2020.01.25
- 本
仕事で数か月イタリアに滞在したことがある。イタリア半島の東側にある中部のペスカーラという沿岸に面した町。当時は海の向こう側のユーゴスラビアは紛争中だったが、そんなことが信じられないくらい美しい海だった。朝になるとその海岸沿いでトロ箱に魚を並べて売る人たちもいた。その町のはずれの港のすぐ前に木曜日と金曜日だけ営業するリストランテがあった。看板も出ていないシンプルなお店だった。オリーブオイルと塩をひとふりかけただけのさっと湯がいた新鮮なスカンピ(手長エビ)は潮の香が残っていて美味しい一皿。ブイヤベースはビアンコ(白)とロッソ(赤)から選ぶことができ、その日に港にあがった魚貝を食べさせてくれる。ビアンコが好きだった。長期の滞在でお米が恋しくなるのではないかと思い小型の炊飯器まで持参して行ったが、イタリアの食事は最高に美味しくて持ち込んだ炊飯器は結局は一度も使わずに帰国した。もう一度あの店でブイヤベースを食べたい。勿論ビアンコで。
本: 「皿の中に、イタリア」 内田洋子
ブックカバー: Afternoon Tea
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