日本で見られる現代アート傑作11 秋元雅史
- 2024.04.30
- 本
10年近く前のことだと思うが、豊島の美術館に行った。その時は雨だった。音や風などの自然を感じるために設られた美術館には、しっとりとした雨音と真っ白な空気が何とも言えず神秘的だった。帰りに船着場の隣の質素なうどん屋で麺を啜っていたら、女将さんが「美術館に行ってたん?」と話しかけてくれた。「あの変な形にコンクリート打つのって、途中で休憩せんと一気に流しこまんといけんのよ。天気予報とか確認しながらね、よし今日はコンクリート打つぞ、って決めてね。その日は島の人が総出でおにぎり作って休憩もでけん職人さんに差し入れたんよ。何回もおにぎり作って運んだんよ。一応どっかのゼネコンさんが作ったってことになってるけど、あの美術館はね、島のみんなで作ったんよ。」僕は豊島美術館が大好きだ。そしてまた訪問できてすこぶる嬉しい。今回は晴れ。小鳥の囀りと床にできる建物の陰影が美しかった。
本: 「日本で見られる現代アート傑作11」 秋元雅史
ブックカバー: 雅正庵
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