ひゃくはち 早見和貴
- 2019.07.20
- 本
中学生の時に凄く仲の良かった友達。部活は野球部。でも野球が下手くそで、ずっと球拾いとグランド整備ばかり。バットを持っている時間よりも、トンボを握っている時間の方が長い。でも、毎日絶対に休まずに練習に行く。ある日「そんな試合にも出られんと球拾いばっかりやらされるんやったら、もう辞めてもええんちゃうん?」と聞いたら「俺、野球無茶苦茶好きやから、球拾いでもええねん。」と言う。三年生になってもずっとグランド整備。結局試合には一度も出ることなく、夏に引退となった。夏休みも終わりに近づいた頃、野球部を引退した友達と会った。「なあ、俺まだ技術の宿題やってないねんけど、何作ったらええんやろ?」「そんなん何でもええから好きなもん作ったらええねん。」「好きなもんかあ・・・」
そして夏休みが終わり二学期最初の日の朝、いつもの待ち合わせの場所にやってきた友達はトンボを背負っていた。
これは僕の飲み友達と彼の中学時代の友達の話で、「ひゃくはち」を読んだ時にふとこの話を思い出してしまった。トンボ君も高校で野球を続けていたとしたら、たとえそこがどんなに野球の弱い学校だったとしても、きっと甲子園を夢見て野球をやっていたに違いない。甲子園に行った人も行けなかった人も、甲子園に行ったかどうかではなく、甲子園を目指していたということが大切なのだろうと思う。
本: 「ちゃくはち」早見和貴
ブックカバー: 甲子園せんべい (亀井堂)
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