あの頃、忌野清志郎と 片岡たまき
- 2023.04.16
- 本
弁当屋を営んでいる友人がいる。彼の経営スタイルは独特である。その独特さを表現するのは難しいのであるが、ひと言で表現するならばロックなのだ。パンチの効いたビートとしっとりとしたスローなバラードが同居した厨房を簡単に想像することができる。彼らの作る弁当は主にテレビ局の楽屋に届けられる。芸能人やスタッフさんが作業をしながら食べることが出来るように、弁当箱のサイズは片手で持ちやすいように工夫が施されている。それ故に平面的に大きくすることができず、お弁当は立体的に詰められており、次から次へと色んなおかずが飛び出てくる。まるで宝石箱の中を覗いているような弁当である。忌野清志郎さんが楽屋でこの弁当を食べたことがあるのかどうかは知らないけれど、もしも食べていたとしたらきっと友人のロックな弁当を愛しただろう。もしも清志郎さんが生きていたなら、僕の友人には自らの手で配達をしてもらいたい。「愛し合ってるかーい」と叫びながら。
本:「あの頃、忌野清志郎と」 片岡たまき
ブックカバー: KARUTA
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