杉田 昌隆

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やっさもっさ 獅子文六

  • 2022.04.03

横浜のあちこちの駅やデパートなどで販売されている崎陽軒のシウマイ。紙紐をほどき箱に被せてある紙を取り除き蓋をめくると、シウマイを含む幾つかのおかずが決められたレイアウトで現れるシウマイ弁当。横浜で生まれ育った人なら目をつぶってでもどこに何が入っているのかわかるのではないかと思われるような不動のレイアウト。もちろん主力商品はシウマイ。そのシュウマイの包み紙でラップされている文庫本が書店の店頭に並んで […]

私はいったい、何と闘っているのか つぶやきシロー

  • 2022.03.27

スーパーマーケットの主任さんの家庭と職場の人間関係を描く人間ドラマ。隣にいる冴えないように見える人にもきっとそれぞれの闘う対象があり葛藤があるのだろうと気づかされる。平凡などこにでもある日々を通じて描かれているだけに正にそう思わされる。応援したくなる気持ち無くして読めない一冊。 本: 「私はいったい、何と闘っているのか」 つぶやきシロー ブックカバー: 新垣菓子店ちんすこう

和菓子のアン 坂本 司

  • 2022.03.08

水ようかんは福井県では冬に食べる和菓子である。こたつに入って四角い箱に入った水ようかんを竹べらで掬い上げて食べるのが冬の風物詩である。県内のあちこちの和菓子屋さんが水ようかんを作るが、販売しているのは冬季のみ。三月までしか食べることができない。和菓子とはその季節の美しさ侘しさ華やかさを小さな世界に詰め込んだ芸術品である。日本各地で季節が移り変わる時期や移り変わり方が異なるだけ、和菓子も異なる。実に […]

墨攻 酒見賢一

  • 2022.03.03

二万の軍勢で迫りくる相手にたった数千の兵で城を守り抜く。戦国時代の中国の設定でひとりの戦略思想家を描いた小説。こんな大昔の設定の話に似た事が現代の地球上で実際に発生するとは思ってもみなかった。平穏な世界が訪れ地球上の人々が安心して暮らせますように。 本: 「墨攻」 酒見賢一 ブックカバー: 阿闍梨餅本舗

アメリカ居すわり一人旅 群ようこ

  • 2022.03.01

ニューヨークを訪れた山下達郎さんが街角のストリートミュージシャンのアカペラの歌声に感動して、帰国後にひとりで全てのパートをアカペラでレコーディングした「On The Street Corner」というアルバムがある。学生時代によく聴いていた。それから何十年も経て、初めて訪れたニューヨークの地下鉄の駅で、僕は電車を待っていた。すると一人の男性がホームの端から歌を口ずさみながら歩いてきた。ベンチの前を […]

ラジオ・ガガガ 原田ひ香

  • 2022.02.27

自分で能動的に音楽を聴くCDとは違い、ラジオから流れてくる歌はハッとさせられる強いメッセージが心に沁みたり刺さったりする。ラジオから流れてくるジョンレノンの歌声。イマジンの意味がこんなにも切実に思えるのは初めて。どうか地球から争いが無くなり世界が平和で包まれますように。 本: 「ラジオ・ガガガ」 原田ひ香 ブックカバー: 鎌倉 豊島屋         &nb […]

花まんま 朱川湊人

  • 2022.02.23

小学生の低学年の頃に市の火葬場が作られた。それ以前はどこの村にも三昧(さんまい)があって、亡くなった人の火葬に使われていた。子供の頃は家の二階の窓からも田んぼの中の三昧が見えたし、親戚の家の近くにも三昧があった。暗くなって帰るときは三昧の横を通るのが怖くて怖くてあっちを向いて一気に走りすぎたものだ。昔は人が死ぬということが普段の生活のすぐ近くにあった。それが原因かどうかはわからないが、奇妙な出来事 […]

優しい音楽 瀬尾まいこ

  • 2022.01.15

アコースティックギターでエリッククラプトンのTears In Heavenを練習している時期に、テレビドラマで放送された岡田恵和さん脚本の「優しい音楽」を観た。心に沁みるお話しだった。原作の瀬尾まいこさんの本は「優しい音楽」「タイムラグ」「がらくた効果」の3つのお話しの短編集になっていて、全てのお話しに登場する人たちが素敵で愛おしい。心がほっこりと温まり愛を感じた。いつか気の合う人たちとTears […]

何でも見てやろう 小田 実

  • 2022.01.15

2000年にネパールのアンナプルナ地方をトレッキングで歩いた。一週間くらい洗濯が出来ないので、捨てても良いようなTシャツを日数分持って行った。チベットとの国境に近い村に到着した日、ロッジに入りシャワーを借りた。シャワーと言ってもバケツにお湯をもらって離れの小屋でお湯をかぶるだけの質素なもの。その足で村の人たちが商いをしている広場に出た。「バケツの中のTシャツとこの中の好きなものと交換しない?」と女 […]

深い河 遠藤周作

  • 2022.01.08

僕はこの本を読んでインドに行った。正確にいうと、妹尾河童さんの「河童が覗いたインド」を読んでインドに興味を持ち、横尾忠則さんの「インドへ」を読んでインドに行ってみたくなり、「深い河」でとどめを刺された。目的地はバラナシ。インドの宗教観では水が南から北へ移動するのはとても有り難いことらしく、ヒマラヤからベンガル湾へ流れるガンジス川が南から北へと蛇行する場所に位置するバラナシは沐浴の聖地となっている。 […]

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