2023年

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ぼくたちの家族 早見和真

  • 2023.06.25

この家族、我が家にとても似ている。全く頼りない父親、冷静に着々とものごとを進める息子たち、ハワイに行きたい母親。 家族って何だろう? 幸せって何だろう? 家族だからこそ言えないことがある。家族だから百点満点の幸せなんてない。家族だから・・・ 家族の数だけ幸せの数もあり、家族の数だけ争いごともある。この家族、とても好きです。いつか家族全員でハワイに行けますように。 本: 「ぼくたちの家族」 早見和真 […]

世界ぐるっと朝食紀行 西川治

  • 2023.05.21

僕は旅先のホテルで食事をするのがあまり好きではない。特に朝食のビュッフェというものはどうも好きになれない。海外の街であれば、その国ならではのローカルな食事を食べさせてくれる食堂が朝早くから営業している場合がある。特にアジアの国々では食堂は朝の時間帯が面白い。観光客なんかが行かない、地元の住民のための食堂なんかが面白い。上海の路地裏で食べたちょっと怪しげな麺は、美味しかったかどうかはさておき、実にス […]

牧野富太郎の恋 長尾剛

  • 2023.04.29

身体が弱かった幼少の頃の僕は、一緒に暮らしていた明治生まれの祖母にドクダミ茶を飲まされていた。苦いドクダミ茶を飲むのは子供にとって苦痛以外の何ものでもなく、鼻と舌がそれが何かを感じ取る前に一気に流し込むように飲むしか方法がなかった。道端を歩いていてドクダミを見つけると、それだけでドクダミ茶を飲む瞬間を思い出してしまうので、思わず目をそらしていた。きっと牧野富太郎さんくらいに探求心があれば、その花や […]

葉桜の季節に君を想うということ 歌野晶午

  • 2023.04.22

桜で染めたという布を見て、てっきり僕は桜の花を使って染めたものだとばっかり思っていた。ところがある時、草木染をしている方から、桜の木を煮出した湯に布を浸けておくと桜色に染まるのだと教えてもらった。桜の木そのものは桜色をしているわけではないので、この事実にものすごく驚いてしまった。桜の花が散ってしまうと、次の春になるまでは全く見向きもされない桜の木が、誰にも見られることがなくても桜としての誇りを持ち […]

あの頃、忌野清志郎と 片岡たまき

  • 2023.04.16

弁当屋を営んでいる友人がいる。彼の経営スタイルは独特である。その独特さを表現するのは難しいのであるが、ひと言で表現するならばロックなのだ。パンチの効いたビートとしっとりとしたスローなバラードが同居した厨房を簡単に想像することができる。彼らの作る弁当は主にテレビ局の楽屋に届けられる。芸能人やスタッフさんが作業をしながら食べることが出来るように、弁当箱のサイズは片手で持ちやすいように工夫が施されている […]

こんなにも面白いローマ帝国1500年の歴史 歴史の謎を探る会

  • 2023.03.26

僕の歴史の知識は中学生の頃から全く進歩していないのだが、今のウクライナの情勢を目にして、国の領土争いの歴史を少しくらい知っておこうと思ってローマ帝国の歴史を読んでみた。 現在世界中の国のやってることって紀元前から変わってない。帝国を治めるトップは頭のいかれた奴らばかり。人を殺す残忍な方法をエスカレートさせることで欲求を満たしたり、セックスに溺れてより強い刺激を求めて最後はホモセクシャルになったり、 […]

おいしくて泣くとき 森沢明夫

  • 2023.03.25

地図で見ると房総半島のちょうど真ん中になる場所に、大学時代の先輩が山を買った。買った土地には古い大きな家があり、イベントや宿泊に大活躍している。その房総半島を2019年に台風が襲い、古い大きな家の屋根が吹き飛んでしまった。知らせを受けた関係者は房総半島に向かい、近隣に暮らす人たちと共に、大きな屋根の応急処置を行った。それ以来、少しずつ屋根の修復にあたり、翌春に遂に屋根が完成した。この場所を訪れたと […]

坂ノ上図書室 2023年3月10日~12日 カフェ・ギャラリー・リンデン

  • 2023.02.21

このたび、カフェ・ギャラリー・リンデン様とのご縁で、三日間だけの図書室を開室する運びとなりました。ウェブサイト As Slow As Possible で紹介している本とブックカバーを集めて自由に読んでいただける図書室です。 周辺に公園や雑木林などのある気持ちの良い場所です。小さい素敵なレストランやパン屋さんもたくさんあります。お気に入りの場所を見つけて本を楽しんでください。 ● ギャラリーには駐 […]

普段着の住宅術 中村好文

  • 2023.02.19

建築家の中村好文さんの展覧会で中村さんとお話をする機会があった。物腰の柔らかいお人柄が中村さんの設計する建物にも現れていて、僕は中村さんと中村さんの作る建物のファンになってしまった。それから何年も経て、松山市にある中村さんが設計した伊丹十三記念館を訪れる機会があり、中村さんの作った建物に実際に触れることができた。中村さんの作る建物は見た目にも心地よい感じがするが、やはり触ってみるとその心地よさが本 […]

小松とうさちゃん 絲山秋子

  • 2023.02.18

東京の武蔵小山に住む冴えない中年男性が恋を追いかけて新潟に向かう話。そういえば、新潟は江戸の時代に北前船で財をなした豪商の家が多く残っていて、あちことで見事な庭を鑑賞することができる。きっと、デートでそういう旧家を訪れていたに違いない。時々は笹団子でも食べながら。 本: 「小松とうさちゃん」 絲山秋子 ブックカバー: 笹団子 田中屋本店