木になった亜紗 今村夏子
- 2023.12.30
「あひる」を読んだ時から、こういう発想をする今村夏子さんは一体どういう方なのだろう?と不思議に思っていた。「木になった亜紗」を読んでますますこの不思議が大きくなった。ところが、あとがきに、日記を人に読まれなくするためにビーフシチューに漬けてから処分をすると書かれてあり、全てが納得できた。それくらいのことを思いつかない人でないと、このようなお話を書くことはできないだろう。そう言えば、小学生の時に給食 […]
「あひる」を読んだ時から、こういう発想をする今村夏子さんは一体どういう方なのだろう?と不思議に思っていた。「木になった亜紗」を読んでますますこの不思議が大きくなった。ところが、あとがきに、日記を人に読まれなくするためにビーフシチューに漬けてから処分をすると書かれてあり、全てが納得できた。それくらいのことを思いつかない人でないと、このようなお話を書くことはできないだろう。そう言えば、小学生の時に給食 […]
上野発、札幌行きの寝台特急「北斗星」の運行を終了するというニュースが流れ、家族で「北斗星」に乗って北海道旅行に行くことになった。ラストランとなるほんの数日前の寝台特急券を4人分手に入れることができ、その雄姿を写真に収めようという大勢の鉄道ファンに見送られて「北斗星」は上野駅を出発した。上下二段のベッドが向かい合った半コンパートメントでは、上に登ったり下に降りたりワクワクソワソワしながら家族それぞれ […]
いやあ、他人の悪口は楽しい。いつでもできる。どこでもできる。誰とでもできる。どんなエピソードも全て悪口にすることができる。ネタなんて尽きることはない。ということは、自分も悪口のネタにされているということだ。いつも悪口を言われている。あちこちで悪口を言われている。みんな悪口を言っている。何をしても全て悪口のネタになってしまう。でも安心して良い。誰も面と向かって悪口を言ってこない。悪口は隠れてするから […]
ノーマン博士は認知科学という分野の研究者で、アフォーダンスやユーザビリティーの研究の先駆者と言うことになる。「誰のためのデザイン?」が日本語で出版されたのが1990年で、最初に読んだのもこの年。大学を卒業して三年後。もしも大学生の時にこの本を読んでいたら、ノーマン研究室の扉を叩きにカリフォルニアに行っていたと思う。勿論そんな行動力があったとは思えないのだが、それくらい腹に落ちたデザイン理論である。 […]
仕事で一週間ほど名古屋に滞在したことがある。実に楽しかった。名古屋メシも楽しかった。コンパルも行った。味仙も行った。山本屋も行った。矢場トンも行った。ひつまぶしも食べた。名古屋駅のホームきしめんも片っ端から食べた。神宮きしめんも食べた。まだまだ探したりない名古屋メシ。その後、名古屋には何度も行った。ユニークな円頓寺商店街にも行った。大須観音商店街はマニアックな店が次から次へと現れてきて、まるで上野 […]
友人が渋谷区で「いるか家」をやっている。ここは行き場を見失ってしまった子供たちのための居場所である。しかし「いるか家」は、子供たちのスペースであるだけではなく、大人へも開かれたスペースであるという。現代は子供であれ大人であれ誰もが様々な問題を抱えながら生きている社会である。こういった「いるか家」のような隙間が社会には必要なのだろうと、友人のお話を聞いてつくづく思った。 社会で自分の居場所を探しなが […]
僕の大学生の時代、当時は未だコンピュータがデザインの現場に導入されていることはほとんど無く、大学で行っているプロダクトデザインの作業も全てアナログだった。ロットリングのメカニカルペンを駆使して図面や文字を描き、あるとあらゆる材料を駆使して模型を作った。僕はこの模型作りが大好きで、課題制作の大詰めになると学校の製図室で寝泊まりしながら模型を作った。もしも現代のようにいろんな作業をコンピュータで進める […]
イタリア北部の山奥に位置するモンテレッジォという村は資源に乏しく農産物にも恵まれなかったため、この村の人たちは何世紀にもわたり籠に入れた本を担いでイタリア中に本を行商して歩いていたという。イタリアの地図にもイタリアのローカルなガイドブックにも一切紹介されていない小さな村。イタリア全土に本を読むということを広めていったこの村の住人たち。 僕は1999年の数か月をイタリアで暮らしている。南部のペスカー […]
自分の気持ちに素直になれない原因になっているコンプレックス。実は、他人からは本人が思うよりずっと些細なことだったりするのかもしれない。このお話の中のふたり(?)は、其々のコンプレックスの基に共通点があるが、自分ではそれに気づくことができない。傷みを取り除くことはできなくとも、傷みを小さくしてくれる出来事はきっとやってくる。読み終えて暖かな気持ちになる物語。 本: 「ぷくぷく」 森沢明夫 ブックカバ […]
アートディレクターでもあり絵本作家でもある堀内誠一さんの目線で旅先の街を描き綴った旅のエッセイ。海外のあちこちの街が魅力たっぷりに紹介されている。確かにどこも住んでみたくなる街である。僕も60歳を目前にして、これまでに海外15か国、国内47都道府県を訪れる機会に恵まれた。実際に訪れた街の中で最も住みたいと思った街は島根県の松江である。お城がある街は朝のランニングがなぜかとても得をした気がする。お城 […]