2019年6月

ボックス 百田尚樹

  • 2019.06.29

僕は格闘技をやったことは無い。やろうと思ったことも無い。これから先もやらないと思う。もっと言うと興味が無い。痛いのが嫌だ。幼い頃からずっと、これからもずっと。柔道もやりたくない。畳はゴロゴロするためのものだ。相撲もやりたくない。裸で土の上に叩きつけられるなんて考えただけで御免だ。レスリングも嫌。にらまれるだけでも怖い。空手。瓦を割って何が楽しいんだろう。その中でも特に、敵と殴り合いをやってその過程 […]

めんたいぴりり 東憲司

  • 2019.06.27

これは食のルポルタージュであり、戦後の博多を描いたノンフィクションでもあり、めんたい作りにのぼせ上がった男のコメディでもあり、そして何と言っても家族の壮絶な愛のドラマである。ひとつの食べ物の背景にこんな汗と涙が存在するなんて。読んで涙が出るのは、めんたいがぴりりと効いた証拠たい! 本: 「めんたいぴりり」東憲司 ブックカバー: 明太子 ふくや

陰翳礼讃 谷崎潤一郎

  • 2019.06.20

日本人の美意識というものは暗さの体験に基づいている。それゆえに日本の家屋や料理はそもそも暗さを前提に創られている。そして家や調度品や食べ物だけではなく、恋や旅など生きることすべてが暗さとの調和によって成り立っている。西洋の美とは本質的に異なるのだ。この本を読んだ日から、電気の無い生活をしてみたくなったが、現代の生活に慣れてしまっている者にはそれは無理な話だ。京都の円山公園の中に「吉水」という数寄屋 […]

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法 橘玲

  • 2019.06.15

リビングのテーブルの上に何日も前から一冊の本が置きっ放し。カミさんと長男は、僕が置きっ放しにしてると思ってたらしい。僕は本のタイトルからして次男の本だと思っていた。次男に確認したいけど、生活時間が違っていて、同じ屋根の下に暮らしているのに一週間に一度会うか会わないかのすれ違い。久しぶりにバッタリと会ったので尋ねてみたら、次男も僕が置きっ放しにしていると思ってたらしい。そこまで皆んなして僕の本だと言 […]

TOKYOオリンピック物語 野地秩嘉

  • 2019.06.15

1964年に開催された東京オリンピックには、世界で初めて取り組んで時代を変えたアイデアがたくさん詰まっている。それまでは常に五輪マーク単独でオリンピックのマークとしてどの大会でも使用されていたのに、初めて東京オリンピックというその大会のためのシンボルマークというものが採用された。それが亀倉雄策さんの傑作だ。競技データをリアルタイムで情報処理して競技が終わった瞬間に速報が出ようなシステムを作ったのも […]

読む餃子 パラダイス山元

  • 2019.06.14

餃子は良い。何と言っても安い。そして誰もが一度は食べたことがある。だから餃子に関しての本はたくさんある。好きな餃子屋というのも誰しもにある。ということで好きな餃子屋の話。小田急線の東海大学前駅のすぐ近く「餃子坊フーガ」。なぜフーガという屋号なのかと言うと、たまたまフーガという喫茶店の後で店を開いたので看板とかもそのまま使って餃子屋さんを始めたから。もしも不動産屋が持って来た物件がパン屋さんだったら […]

世界の食べもの 石毛直道

  • 2019.06.09

人が何をどのように調理して食べるかは、その地域にどんな食材があるかということと、その地域にどんな調理の技術が発達したかということに依る。長い年月を遡ってみると、特定の食材が無かったが故に、その栄養素なり味覚なりを補うために新たな調理法を発明したり独特の食材を発見したりして今に至っている。 何でも満たされている状態よりもむしろ何かが欠乏しているからこそ人は知恵を使い工夫してきた、ということが分かった […]

ゼロからトースターを作ってみた結果 トーマス・トウェイツ

  • 2019.06.09

自分のトースターを作る!としたら。 白いトースターを買ってきてデコレーションするレベルがまあ大抵の人の思うところかな? 世界中探せば、ドライバー一本でトースターを作るキットくらい売ってるかもしれない。少しモノ好きな人はこれくらいするかな? 秋葉原の電気街で適当な パーツを買ってきて自作する人も中にはいるかも? 鉄の板を買ってきて、町工場でプレス機とか旋盤とか借りて、パーツ作りから始める人もいるかも […]

Jimmy 明石家さんま

  • 2019.06.09

失敗を繰り返し吉本から何度もクビを宣告されるダメダメ男に、絵の才能を気付かせて自信を持たせて人に喜ばれることの楽しさを覚えさせた、明石家さんまさんとジミー大西さんのノンフィクション小説。その辺に転がってるコーチングやエンパワーメントの教科書なんかよりも遥かにリアリティがあってタメになる。 本: 「Jimmy」 明石家さんま ブックカバー: 建築倉庫 アントニオガウディ サグラダファミリア (ジミー […]